さぁ夏が来た!

こどもって面白い

 さぁ今年も、子どもたちが待ちに待っていた夏休みがやってきた。昨年度(2020年)はコロナの影響で春からいきなり休校になってしまったから、いったいいつからが夏休みなのかわからないような状態だったけど、今年(2021年)はきっちり一学期のお勉強もあったから、子どもたちもやっと夏休みで解放されるという気分になっているのかも知れない。

 プレイスクールでは夏のプログラムのひとつとして「どんぐり工房」というもの作りの機会を設けている。今年も夏休みに入ってすぐの東京オリンピック協賛特別大感謝祭四連休(?)に二日間にわたって行った。毎年いろいろなもの作りを提案しているのだが、はずせないのが貯金箱だ。これが夏休みの課題のひとつとなっていることも多く、毎回たくさんの子どもたちが参加してくれる。

 今年は、お金を入れると硬貨の種類ごとに仕分けしてくれる「わけわけ貯金箱」にしてみた。今どきのネタ探しはYouTube、いとも簡単に完成してしまう映像を早送りでながめつつアイデアを練る。なぁ~に硬貨の種類ごとに大きさが違うんだから、それぞれが落ちる穴をあけときゃカンタンじゃん!…ねっあなたもそう思ったでしょ。ところが、これがなかなかの曲者なのである。特別に大きい500円玉(26.5mm)をのぞけば、実は硬貨の直径ってビミョーな違いなのである。大きい順に並べてみると、10円(23.5mm),100円(22.6mm),5円(22.0mm),50円(21.0mm),1円(20.0mm)となっている。加工しやすいように穴を開けた仕掛けは厚紙で作ったのだが、この精度はなかなか難しい。15人前のこの仕掛けをひとつずつお金を転がしてはカッターで切ったり、テープをつけたりして調整するハメになってしまったわけだ。考えてみてほしい。いい年したおっさんがひとりでお金を転がして頭を抱えている姿を(しかもこのおっさん最近は金髪だったりする)…異様な光景である。

 そして、いざどんぐり工房当日。子どもたちはそんな細かいことには目もくれず、とにかく形を作ることに全集中、できあがった貯金箱にお金を転がし入れテストが始まった。小さい子どもたちは、硬貨が穴に落ちること自体が楽しいようで、キャッキャッと喜んでテストを繰り返している。少し大きい子になると落ちるべき穴に硬貨が消えた時に思わずガッツポーズで喜びを表現したりしている。

 そんな時、ひとりの女の子の声が工房に響いた。「フーチン、スゴイ!1円が50円になった!」「なっなっなにぃ〜っ?」そう、勢い余った1円玉が落ちるべき穴を通り越して、お隣の50円玉の穴に落ちてしまったのだ。「すごいやん!いきなり50倍や!」 そうかと思うと隣では男の子が頭を抱えている。「う~っ、100円が10円になってしまったぁ~っ!」 何やらいきなり工房が外国為替市場になったかのように、お金の価値が高騰暴落する事態となってしまったのだった。いやこの値動きは暗号資産ビットコインも真っ青だ。この機会に今の時代貯金しても金利もつかないから、株式か金投資でも勧めようかとも思ったのだが、子どもたちはそんなことはお構いなしに貯金箱にお金を入れることに熱中していたのだった。

 この「コイン穴入れゲーム」意外と大人でも楽しめてしまうので、お盆の里帰りの際にはぜひともこの貯金箱を持って帰って、おじいちゃんおばあちゃんにも参加してもらったら、プラスアルファのお小遣いをゲットできるのではないかの思ったのだが、実はこの貯金箱は全体をデコパネ(発泡スチロール)で作っているので、大量の小銭が投入されると重さで壊れてしまうという貯金箱としての第一義的な機能を有していないという残念な事実に思い至ったわけである…やっぱり濡れ手に粟って訳にはいかないなぁ。

 夏休み始まってすぐに自由工作という難関を突破した子どもたち、次のハードルは読書感想文か? 何はともあれ、みんな元気に楽しい夏休みを過ごしてね!

(2021/08月号)

蛇足 いままでいろいろな貯金箱を作ってきました。形で見せるより、カラクリでびっくりさせるのが面白いのでどうしてもそんなふうなものが多くなりがちでした。究極はお金を入れると立方体の貯金箱が解体しちゃうというもの、お金の重さでストッパーがはずれ、ゴムの力で潰れるというものですが、出来上がってからひとしきり遊んだこどもがひとこと、「あのさぁ、この貯金箱お金たまらへんのんちゃうん!」 はい、日本経済のためにお金は貯めずに使いましょうね!

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