プレイスクールの活動も終わり、お母さんのお迎えを待つ夕刻、晴れ渡った空が少しずつ夕焼けに染まろうとしていた。空を見上げていたその子は大発見したかのような声を上げた。
「ふうちん、あれって飛行機? 宇宙船とかとちゃうやんなぁ?」 指さす先にはオレンジ色に輝くペンシル状の物体が悠然と飛んでいる。「あぁあれな、あれは葉巻型UFOや! オレが呼んどいてん! オレってすごくない?」
飛んでいたのはもちろん飛行機で、角度によって羽根が見えなかっただけなのだけれど、夕陽にきらめきながら空に浮かぶ様子は宇宙船といってもいいくらいの不思議な感じだった。
2017年、米航空宇宙局NASAなどの国際チームが地球に似た惑星を発見したというニュースが世界を駆け巡った。地球からみずがめ座の方角に39光年離れたTRAPPIST1を周る7つの惑星の大きさや重さ、温度が地球に近く、水や大気が存在して生命を育むことのできる地球型惑星の可能性があるという。もちろん環境的にハビタブルゾーン(生命棲息可能域)である可能性があるというだけで、火星型宇宙人やバルタン星人、デスラー総統がいるわけではない。しかし、今後の調査で水や酸素、メタンなどが同時に見つかると地球外生命の存在の可能性が高まるという。
実は今回のこのニュースのすごさは、宇宙の中では比較的近い距離(といっても光の速度で片道39年かかるけど…)に生命が存在する惑星がいきなり7つも見つかったということ、つまり宇宙全体でみるとかなりの星に生命体がいるかも知れないということなのだ。もう人類は宇宙でひとりぼっちの存在ではないということだ。もちろんその生命体と友だちになれるのか、けんかすることになるのかはまだわからないけれど、それでも見上げた星空の先に希望は感じられる。個人的にはできればイスカンダル星のように放射能除去装置を貸してくれるところがあればいいのにと思ったりする。
「UFO、もうじきこっち来るで!」
「え~っ! ここ来んのん?」
「ちょっと乗ってみる? 家まで送ったろか?」
「えっえっえ~っ! いやや~っ! 宇宙人、宇宙人が来る~っ!」
宇宙人の襲来に恐れをなして走り回るその子を見ながらお母さんがポツリ
「私にとってはあんたが宇宙人やわ! ホンマなに考えてるのかわからへんし…」
なっなっなんとすでにコンタクトがあったとは…遠くの星より我が家のET!
(2017/03月号)
蛇足
地球外生命が存在する可能性のあるハビタブルゾーンにある惑星で、地球に一番近いのはプロキシマbという星でそれでも4光年の距離にあるという。ちょっとあそびに行ってくるわとは気軽に言えない距離だけど、宇宙のなかではお隣さんのようなものらしい。
でももしどこかに「知的生命体」がいたとしても、出会える確率はほぼないのだとか。逢いたくても逢えないなんて、まるで七夕の彦星と織姫さまみたいですね。それにしてもバルタン星人にデスラー総統って…例えが古すぎるなぁ。まぁ宇宙の距離や時間からみてもらいお許しの程を…