大きく大きく大きくな~れ!

こどもって面白い

 秋といえば芸術そしてスポーツの秋ということで、先日はこどもたちと近くの山までハイキングに行ってきた。近場の山ではあるけれど標高682mとこの地域では一番高く、行程もしっかり距離もあり、登りが急なところも相まって、ちょっとした山行気分なのだった。歩きながらこどもたちは毎度おなじみのフレーズ「あと何キロ?」「あと何分?」「あと何歩?」とうるさく質問攻めをしてくる。その度に「あと100キロ」「あと100時間」「あと9,999,999歩」とか適当なことを言って煙に巻きながら、こどもの気持ちを後押しする。

 歩き始めて約3時間ほどで山頂にあるお寺さんに到着した。ちょうど小雨が降ったきたので、お寺の休憩所をお借りしてお弁当タイムとあいなった。お母さんが作ってくれたお弁当をリュックから取り出すこどもたち、今回参加の中で最年少の男の子のお弁当を見てみんなビックリ!

 「えっ?そっそんな食べるんか?」「うん。晩ごはんはもっと食べるけど…」そこには大人でもお腹いっぱいになるのではないかと思うほどのでっかいおにぎりが三つと、しっかりとおかずの詰まったお弁当箱が広げられていたのだった。この子は決して体が大きいわけじゃなく、見ようによっては「燃費」が悪いとも言えるけれど、育ち盛りだから運動する分以上に成長するためにエネルギーか必要なのだろう。あれだけ食べても太らないというのは、われわれから見ればうらやましい限りだ。

 「いっぱい食べて大きくなりたいねん!」こどもたちと話をしていると大きくなりたい願望を感じることがある。大きくなって相撲取りになるとかいう意味じゃなくて、とにかく今日より明日、明日より明後日、どんどん大きくなりたいという「成長」願望だ。背が高くなるとか体重か増えるとかだけじゃなく、剣を作ったらやたらと長くしたがったり、モノを作ったらとにかくでっかくしたがったりするのも、そんな「大きい」願望のなせる技なのだろうか。世の中何もかも「軽小短薄」に向かっていたり、いまじゃ実体のない仮想空間に価値が認められたりしているというのに、こどもたちは案外と「重大長厚」という昭和な感じがお好きなのかも知れない。だってこどもは成長期なのですから、時代的には「三丁目の夕日」あたりの「高度成長期」と感覚的に近いのかも知れませんね。

 ところで成長という話では、「寝る子は育つ」というのは本当なのだという調査結果(東北大学調査)が新聞で紹介されていた。睡眠6時間のこどもよりも10時間寝ているこどもの方が、脳の記憶を担う「海馬」が大きくなるのだという。昔からのいい伝えが正しかったことが、科学的に証明されたわけだ

 「食う・寝る」は成長のための必要条件、そしてここに「遊ぶ」が入ってきっとこどもは成長していくのだろう。ハイキングの続き。下山してコンビニでおやつにしたら、先のこどもはアイスを食べてからあんパンとクリームパンをたいらげ、満足そうに帰りの車に乗り込んだ。しばらく車を走らせてから後ろの座席をボクが振り返ると、すでにその子は爆睡状態! う~むこれは大きく育ちそうだ!。

 ボクも最近やたらともの忘れがひどくなってきたので、今夜から毎晩10時間寝て改善を図ろうかと思ったりしたのだけれど、先のデータは成長期のお話しなので、すでに成熟期から衰退期にさしかかるボクが寝たところで海馬は育たず、育つのは内臓脂肪くらいだろうという結論に達したのであった…「食う・寝る・太る」!?

(2012/10月号)

蛇足
 昨日より今日、今日より明日と成長するこどもたちの姿には、まさに希望があります。そしてそんな姿に関われることも幸せなことではないでしょうか。
 睡眠と脳の関係については、東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)ニュース     https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/152からご確認ください

タイトルとURLをコピーしました