今年の桜は咲いてからの雨にも負けずによく咲いていくれている。はらはらと舞う花びらを見上げつつ、また新しい年度が始まると同時にまたまた年を重ねることになるのかと感慨深くため息をついたりするのであった。はぁ~~~~~っ!
というのも先日の休みの日に近くをウロウロしていたところ、卒業生やその保護者の方々に立て続けに会ってしまい、さらにはボクの薄くなりつつある頭髪と隠しようのない顔のしわをまじまじと見ながら、「フーチンも歳とったなぁ~!」と実に的確なそして忖度のないご感想でもって皆々さまに一刀両断に切り捨てられたからなのである。
歳をとるのも当たり前である。何たって今は大学生になっているその子たちが幼稚園の頃から知っているのだから。こちらはたいした変化はない(と本人は信じている…)ものの、向こうはビックリするくらい変わっていて、特に女の子はさっぱりわからないこともたびたびだ。
回転寿司で飲み物の注文を取りに来た女の子が妙にニヤニヤしているなと思って名札を見たら卒業生だったり、コンビニのレジで「いらっしゃいませ」と言われてしまったり、イタメシ屋の向こうのテーブルから手を振っている女の子がいたり、あげくはレンタルビデオ店で店員に声をかけられたりと、この街で暮らしているとどの店に入っても誰か知り合いがいるのではないかと不安になってしまうのだ。まさに壁に耳あり障子に目あり、監視カメラよりも恐ろしい社会なのだ。
プレイスクールがこの地で活動を続けて今年2006年で30年になる。当然、それだけたくさんの卒業生を送り出したということだし、その子たちが社会を動かす方に参加し出したいうことである。もともとが新興住宅地として開発された地域だから、新しいコミュニティーの形成にプレイスクールも関わって来れたことの証といってもいいだろう。
こどもたちが大きくなるのと同時にその保護者の方々も早い人は定年の声を聞き出している。この街もいよいよ次のステージに入ってきたようだ。プレイスクールが社会的な存在として「遊び」をキーワードにその役割を果たすのであれば、ひょっとすると今度はシルバー世代のプレイスクールをする必要があるのかも知れないと最近思っているのだ。どんなことができるのかわからないけれど、まだまだやる気や元気のある人たちといっしょに何か面白いことはできそうな気がしている。何だかその世代の方々は妙にお元気なのである。それにその世代を相手にしていれば、ボクもいつまでも「若い」といってもらえそうな気もするしなぁ…。
それにしてもビデオ屋に勤めてるやつだけは一度飲みに連れていっとかないといけません! 何たってボクが過去にどんなビデオを借りたかなどという恐ろしいデータを握られていたりするのだから、頭が上がらないではありませんか! アキラ君、いつにする?
(2006/05月号)
蛇足
2022年、プレイスクールは44年間の活動に幕を下ろしました。解散前にはこの文章に登場するアルバイトの大学生たちがお父さんお母さんになって戻ってきてくれたりしたので、そのおじいちゃんおばあちゃんから三世代にわたってお世話になったことになります。そりゃあ年も取りますねぇ!